The Model(ザ・モデル)とは? 営業・マーケティング・インサイドセールス・カスタマーサクセスの共業プロセスを解説

目次

The Model(ザ・モデル)とは

The Model(ザ・モデル)とは、マーケティング・インサイドセールス・営業・カスタマーサクセスを分業しつつ、一つの営業プロセスとして統合するビジネスモデルの考え方です。

この章では、SaaSビジネスの成長とともに生まれた背景や、なぜ今多くのBtoB企業から強く注目されているのか、その基本概念と全体像を整理してわかりやすく解説し、自社の営業体制を見直すための第一歩につなげます。

The Modelが生まれた背景(SaaS成長と分業モデルの必要性)

The Model(ザ・モデル)が生まれた背景には、SaaSをはじめとしたサブスクリプション型ビジネスの急成長があります。顧客がWeb上で情報収集し、自ら比較検討するようになった結果、従来の「一人の営業が新規開拓から受注、フォローまで担当する」スタイルでは、スピードも質も追いつかなくなりました。また、担当者ごとにやり方がバラバラだと、属人化が進み売上予測も立てにくくなります。

そこで、マーケティングはリード獲得、インサイドセールスは育成と案件化、フィールドセールスは商談、カスタマーサクセスは継続とアップセル、と役割を専門分化し、共通KPIで管理することで、営業プロセスのボトルネックを可視化しながら継続的に改善していくモデルとしてThe Modelが広がり、BtoB企業の標準的な営業フレームワークとなりました。

The Modelが注目される理由

The Model(ザ・モデル)が多くの企業から注目される理由は、営業組織の「再現性のある成長」を実現しやすい点にあります。個々のトップセールスのスキルや属人的な勘に頼るのではなく、マーケティング・インサイドセールス・営業・カスタマーサクセスそれぞれの役割とKPIを明確にすることで、どこで成果が出ていて、どこがボトルネックになっているのかを数値で把握できます。

また、組織の人数が増えてもプロセスと指標さえ共有されていれば、同じ型で人材育成ができるため、スケールしやすいのも大きな魅力です。さらに、分業体制によって顧客との接点が途切れず、一貫した顧客体験を提供しやすくなる点も、The Modelが支持される理由と言えるでしょう。

SaaSやBtoBの世界で成功事例が増えたことで、「自社でも取り入れたい営業モデル」として注目が集まっています。

The Modelの基本概念(共業プロセスの全体像)

The Model(ザ・モデル)の基本概念は、顧客の購買プロセスに沿って「マーケティング→インサイドセールス→フィールドセールス→カスタマーサクセス」という共業プロセスを設計し、分業しながらも一つのチームとして成果を最大化することです。

各部門は個別のゴールではなく、最終的なLTVや継続率、売上成長といった共通目標に向かって役割を担います。そのために、リード数・商談数・受注率・チャーンレートなどのKPIをステージごとに定義し、SFAやMA、CRMツールでデータを一元管理します。

こうして、どのプロセスで顧客が離脱しているかを特定し、ボトルネックを解消し続けることで、営業とマーケティングが連動した高い成果を生み出すのがThe Modelの基本的な考え方です。単なる理論ではなく、実務オペレーションまで落とし込める「営業設計図」として機能する点が大きな特徴と言えます。

The Modelの営業プロセス4ステップ

The Modelは、顧客の購買行動に合わせて「マーケティング→インサイドセールス→フィールドセールス→カスタマーサクセス」の4つのプロセスで構成されます。各ステップが明確に役割分担されており、共通KPIで連携することで、リード獲得から受注、さらには継続・アップセルまでを“一気通貫で最適化”する仕組みです。

ここでは、各プロセスの役割と実務ポイントを詳しく解説します。

①マーケティング:リード創出(LPO/SEO/広告など)

マーケティングの役割は、見込み顧客(リード)を安定的に獲得し、営業組織がアプローチできる母数を最大化することです。SEOやコンテンツマーケティング、ホワイトペーパー、広告、ウェビナーなど複数チャネルを活用し、質と量の両面でリードを創出します。

特にThe Modelでは「CPAの最適化」「リード品質の明確化」「ファネルごとのCVR改善」が重要で、LPO(ランディングページ最適化)やMAツールを使い、流入〜コンバージョンの動線を継続的に改善していきます。

また、マーケティング部門はインサイドセールスや営業と連携し、ターゲットやペルソナ、MQLの基準を共有することで、部門間の認識ズレをなくすことが成果につながります。

②インサイドセールス:リード育成と案件化

インサイドセールスは、マーケティングが獲得したリードに対して、メール・電話・オンライン商談などでコミュニケーションを取りながらナーチャリング(育成)し、商談化(SQL化)までを担う役割です。

単なるアポ取りではなく、顧客の課題や温度感を把握し、適切なタイミングでフィールドセールスにつなぐ「橋渡し役」として機能します。そのため、スコアリング、深堀質問、過去接点の分析など、データに基づく精度の高い判断が求められます。さらに、案件化率を高めるためには、マーケティングと連携し「どのリードが質が高いか」「どのアプローチがCVRを上げるか」を検証し続ける運用が重要です。

The Modelでは、このインサイドセールスが営業効率を左右する最重要プロセスと位置づけられています。

③フィールドセールス:商談・提案・クロージング

フィールドセールスは、インサイドセールスが案件化した見込み顧客に対して、商談の深掘り、提案、クロージングを行う役割です。

The Modelでは、フィールドセールスが新規開拓からフォローまでを行う従来型と異なり、“商談の質”に集中できる点が大きなメリットです。顧客の課題を正確に把握し、競合比較や意思決定プロセスを理解した上で、最適な提案をし受注率を高めます。

また、SFAを活用して案件ステータスを一元管理することで、どの商談が停滞しているか、どの提案が刺さっているかを共有しやすくなり、組織的な改善サイクルが回せます。さらに、営業とCS間で情報をつなぐことで、受注後のオンボーディングや活用サポートにつながり、顧客体験の向上にも寄与します。

④カスタマーサクセス:定着・活用支援・継続・アップセル

カスタマーサクセスは、サービス導入後の顧客が価値を最大限に引き出せるよう支援し、継続率向上やアップセル・クロスセルを実現する役割です。

SaaSやサブスクリプションモデルでは、契約後のLTVが利益の大部分を占めるため、CSはThe Modelにおいて極めて重要なポジションといえます。オンボーディングで利用開始を支援し、定期的な活用提案や課題解決を行うことにより、チャーン(解約)を防ぎ、顧客の成功体験を積み重ねていきます。

また、利用状況データや問い合わせ履歴を分析し、課題を先回りしてアクションすることで顧客満足度が向上し、結果としてアップセルや紹介にもつながります。営業とCSが密に連携して情報共有することで、顧客との長期的な関係構築を実現できるのがThe Modelの強みです。

The Modelの特徴

The Modelの最大の特徴は、マーケティング・インサイドセールス・営業・カスタマーサクセスを“分業しながらも一つのプロセスとして統合する”点にあります。属人化しがちな営業活動を仕組み化し、再現性のある成長モデルを構築できることから、多くのBtoB企業が採用しています。

この章では、The Modelが持つ3つの核心要素「効率化・KPI管理・顧客体験の一貫性」について解説します。

分業による効率化と再現性の向上

The Modelの最も分かりやすい特徴は、「分業による効率化」と「再現性の向上」です。従来の営業は、新規開拓・案件化・商談・クロージング・アフターフォローまで一人の担当者が担う“フルサイクル型”でした。この場合、スキルや経験に依存し、成果にばらつきが出やすく、組織規模が大きくなるほど属人化が深刻化します。

一方、The Modelではプロセスを専門領域で分けることで、各担当者が自分の役割に集中でき、プロセスごとの改善や自動化も進めやすくなります。また、分業することでKPIが明確になり、どの部分がボトルネックかを迅速に把握できるため、組織全体で改善サイクルを回しやすくなるのが特徴です。

結果として、「誰が担当しても一定の成果が出る」再現性の高い営業組織を構築できます。

KPI・責任範囲の明確化

The Modelでは、各プロセスに明確な責任範囲とKPIが定義されることが重要なポイントです。マーケティングならリード数や獲得単価、インサイドセールスなら商談化率、営業なら受注率、カスタマーサクセスなら継続率やアップセル率など、部門ごとの成果基準が明確になります。これにより、部門間の“認識ズレ”が解消され、数字をもとに改善ポイントを共通認識として持つことが可能になります。

また、プロセスごとに成果が計測されるため、俗人的な評価ではなく、客観的なデータに基づいたマネジメントができるようになります。さらに、責任範囲が明確になることで、押し付け合いや境界の曖昧さがなくなり、組織全体として合理的な意思決定が行えるようになるのも大きなメリットです。

顧客体験を統一するプロセス管理

The Modelでは、分業しながらも顧客との接点をシームレスにつなぐことで、一貫した顧客体験(CX)を提供できる点が大きな特徴です。従来の営業では、担当者ごとに伝える内容が違ったり、引き継ぎが不十分で顧客が混乱したりするケースが多く、満足度や信頼性が損なわれる原因となっていました。

しかしThe Modelでは、MA・SFA・CRMを通じて顧客データが統合管理されるため、どのフェーズでも「顧客の背景・接触履歴・ニーズ」を踏まえた対応が可能になります。さらに、メッセージや提案内容の統一、ルールの標準化により、顧客にとってストレスのない体験を提供できます。

結果として、商談の成功率向上、解約率の低下、ロイヤルティ向上につながり、LTV最大化というThe Modelの本来の目的を達成しやすくなります。

The Model導入のメリット

The Modelを導入する最大のメリットは、営業活動の属人化を解消し、“誰が担当しても成果が出る”再現性のある組織をつくれる点にあります。分業による効率化やプロセスの可視化によりボトルネックが明確になり、改善サイクルを回しやすくなるのが特徴です。

また、マーケティング・営業・カスタマーサクセスが同じKPIでつながることで、顧客体験と売上を同時に最大化できる点もThe Modelが支持される大きな理由です。

営業効率の向上(分業による専門性強化)

The Modelでは、マーケティング・インサイドセールス・フィールドセールス・カスタマーサクセスと役割を分業することで、各担当者が自分の専門領域に集中できます。

その結果、営業活動の生産性が向上し、プロセス全体のスピードも早くなります。従来の「一人の営業がすべてを担当する」モデルでは、新規開拓・育成・商談・フォローの全工程を同時に進めなければならず、リソースのムダや作業の偏りが避けられません。しかし分業することで、マーケティングが質の高いリードを供給し、インサイドセールスが育成し、営業が商談に集中し、CSが継続率を高めるという流れが機能し、全体の効率が大幅に改善します。

特にSaaS企業では分業による成果が顕著で、高速な改善サイクルを回せる点が大きなメリットです。

営業プロセスの可視化で課題が把握しやすい

The ModelではプロセスごとにKPIが設定されるため、「どこで成果が出ていて」「どこがボトルネックになっているのか」を明確に把握できます。従来の営業では、リードが少ないのか、アポが生まれないのか、提案に課題があるのか、商談が進まないのか、原因が担当者の感覚に依存しがちでした。

しかしThe Modelでは、リード獲得数・商談化率・受注率・継続率といった指標をデータで確認できるため、改善すべきポイントが一目で分かります。また、MA・SFA・CRMなどのツールを組み合わせることで、顧客行動から案件進行状況まで可視化され、組織としての意思決定が圧倒的に精度の高いものになります。

結果として、無駄な施策を減らし、成果が出るプロセスに集中投資できるのが大きな利点です。

再現性の高い営業組織が構築できる

The Modelは、プロセスとKPIが標準化されているため、属人化を排除し、組織として“再現性のある成果”を出すことができます。従来の営業スタイルでは、優秀な営業が抜けた瞬間に売上が落ちる、メンバーごとに対応品質が違うなどの課題がよく見られました。

しかしThe Modelでは、プロセスが細分化され、役割・指標・ルールが統一されているため、新人が入っても短期間で戦力化でき、組織全体のパフォーマンスを一定水準以上で維持できます。さらに教育コンテンツや営業トーク、進行フローも体系化されるため、経験に依存しない型で成果を出せる組織に進化します。

長期的に見ても、スケールしやすく、離職リスクに強い営業体制を構築できる点が大きなメリットです。

マーケ/営業/CSの連携が強化される

The Modelの本質は「部門間連携の最適化」にあります。

マーケティング・インサイドセールス・営業・カスタマーサクセスが、それぞれ別のゴールで動くのではなく「売上・LTV最大化」という共通目的を持ち、同じステージ定義やKPIでつながることで連携が非常にスムーズになります。各部門がデータを共有し、顧客の状況を正確に把握しながら同じ方向に進めるため、引き継ぎミスや情報の断絶が減り、顧客体験の質も大幅に向上します。

また、CSが得た顧客の声をマーケや営業にフィードバックすることで、リード獲得から提案内容、機能改善に至るまで、組織全体で“顧客起点のビジネス運営”が可能になります。この横断的な連携こそThe Modelが多くの企業で成果を出している理由の一つです。

The Modelのデメリット・よくある失敗

The Modelは営業効率や再現性を高める一方で、導入方法を誤ると分断や形骸化などの問題が起きやすいモデルでもあります。特に、部門ごとのKPI最適化が進みすぎると、本来の目的である「顧客価値の最大化」からズレが生まれる点は注意が必要です。

ここでは、よくある失敗や導入時に起こりやすいデメリットをまとめ、失敗しないためのポイントを理解できるよう解説します。

分断が起きやすい(マーケと営業/営業とCS)

The Modelの分業体制は効率化につながる一方、適切な連携設計がないと部門間の分断を生みやすいというデメリットがあります。マーケティングはリード数、インサイドセールスは案件化率、営業は受注率、CSは継続率と、それぞれ異なる指標を追うため、部門間で“相手の数字が悪いから成果が出ない”と責任の押し付けが起こるケースも少なくありません。

また、共通のペルソナ定義やMQL/SQL基準が曖昧なままだと、マーケは「質が高いと思って渡したリードが営業には刺さらない」、営業は「育っていないリードが渡されて仕事が増える」と感じ、組織の一体感が損なわれます。こうした分断は生産性の低下だけでなく、最終的には顧客体験にも悪影響を及ぼします。

引き継ぎ品質が悪いと顧客満足が下がる

分業体制では、顧客が複数の担当者とやり取りするため、引き継ぎ品質が悪いと一気に顧客満足度が低下します。

例えば、インサイドセールスから営業への情報不足、営業からCSへの不十分な共有は、顧客の期待値と提供価値のズレを生み、「何度も同じ説明をさせられる」「話が伝わっていない」といった不満が発生します。特にSaaSでは、初期のオンボーディングがスムーズに進まなければ解約リスクが急上昇します。

The Modelで成果が出ない企業の多くは、この「情報の断絶」が原因です。MA・SFA・CRMなどツールの導入だけでは不十分で、役割定義・必要情報の基準化・共有フォーマットなど、運用ルールまで徹底することが成功には不可欠です。

KPI重視で顧客理解が疎かになりやすい

The ModelはKPI管理を強化するモデルですが、数字を追うことに偏りすぎると、顧客そのものへの理解が浅くなるという落とし穴があります。

例えば、マーケティングはリード数ばかり増やして質が低下したり、インサイドセールスは商談化率を上げるために無理なアポを設定したり、営業は短期受注を優先し長期的な信頼関係構築がおろそかになることがあります。

KPIはあくまで手段であり、顧客の成功を中心に据えた施策設計ができなければ、The Modelは形骸化し、顧客体験の低下や解約増加につながります。特にサブスクリプションモデルでは、顧客の課題把握や活用支援が売上の大部分を左右するため、数字と顧客価値のバランスを保つことが極めて重要です。

中小企業・アカウント営業では適合しにくいケース

The Modelは多くのSaaS企業で成功していますが、すべての企業に適しているわけではありません。特に、営業人数が少ない中小企業や、1社あたりの商談深度が高い「アカウント営業型」の企業では、分業することで逆に非効率になるケースがあります。人数が少ない企業で無理に分業すると担当者不足が発生したり、引き継ぎの手間が増えて顧客対応が遅れたりすることがよくあります。

また、アカウント営業の場合は長期的な関係構築が重視されるため、担当が細かく変わることが顧客に不安を与える可能性もあります。こうした企業では、The Modelをそのまま導入するのではなく、「部分導入」や「一気通貫の営業体制とのハイブリッド構成」が適切なケースも多く、自社の営業スタイルに合わせた設計が必要です。

The Modelを成功させる5つのポイント

The Modelは導入するだけで成果が出る仕組みではなく、組織に合わせた運用改善が欠かせません。特に分業体制では、部門間連携・データ管理・引き継ぎ品質によって成果が大きく変わります。

この章では、The Modelを形骸化させず、継続的に成果を出し続けるために重要となる5つの成功ポイントを整理し、実践で役立つ運用のコツを解説します。

①部門間の責任範囲を数値で明確にする

The Modelを成功させる第一のポイントは、マーケティング・インサイドセールス・営業・カスタマーサクセスそれぞれの責任範囲を明確にし、数値で示すことです。責任範囲が曖昧だと、部門間で「どこからが自分の仕事か」「どこまで引き継ぐべきか」が不明確になり、分断が発生します。

しかし、MQL基準・SQL基準・必要情報の定義・ステージの境界を数値で統一すると、認識ズレがなくなり、全員が同じ基準で判断できるようになります。また、これにより部門同士の責任の押し付け合いが解消され、プロセス全体の精度が上がるため、営業効率と顧客体験の向上につながります。

The Model運用の土台となる最も重要な要素です。

②プロセスごとに共有KPIを設定する

The Modelでは、各部門がバラバラのKPIを追うのではなく、「プロセス全体の成果につながる共有KPI」を設定することが重要です。

例えば、マーケティングはリード数だけでなく商談化率を、インサイドセールスは案件の質だけでなく受注率を意識することで、部門間の最適化ではなく組織全体の最適化が実現します。共有KPIを設定すると、データに基づいた改善が進み、会議や振り返りも数字基準で行えるため、施策判断が格段にスムーズになります。

また、成功企業の多くは「KPIの前提となる定義(リード・商談・受注のステージ定義)」を細かく統一しており、これによりThe Modelが安定して機能し続けます。

③引き継ぎルールと運用フローを統一する

The Modelでは、顧客が複数の担当者と接触するため、引き継ぎルールの精度が成果を左右します。引き継ぎが曖昧だと、顧客からの二度手間感や情報の抜け漏れが発生し、満足度低下や解約につながります。これを防ぐためには、各ステージで「どの情報を、どの形式で、どのツールに残すか」を統一し、責任者を決めて運用する仕組みが必要です。

また、商談化前の情報記録、提案背景、期待値、リスク情報、顧客の過去行動など、必要な共有項目をテンプレート化すると品質が均一化されます。加えて定例会議で引き継ぎ品質をレビューし改善することで、プロセス全体の精度が継続的に高まります。

④SFA/MA/CRMを使いデータ連携を徹底する

The Modelの運用では、ツールを適切に連携し、すべての顧客データを一元管理することが欠かせません。MAで取得したリード情報がSFAへ、商談履歴がCRMへ、CSの利用データが営業へ、とデータがシームレスにつながることで、各部門が同じ情報をもとに判断できるようになります。これにより、「顧客の状況がわからない」「営業とマーケで情報が違う」といった分断がなくなり、顧客対応の質も均一化します。

また、データ連携が進むと、ボトルネック分析・CVR改善・チャーン予測などの高度な分析も可能となり、営業活動の精度が飛躍的に向上します。ツール導入は目的ではなく、“運用と改善の土台”として設計することが重要です。

⑤顧客理解を深め、顧客体験の一貫性を確保する

The Modelでは分業が進むほど、顧客体験の統一が重要なテーマになります。各部門が異なる視点で顧客と接触するため、顧客の課題・期待値・利用状況の理解を共通化しないと、体験が分断されてしまいます。これを防ぐためには、ペルソナ・カスタマージャーニー・共通メッセージの設計が不可欠です。

また、顧客に関する学びを部門横断で共有する仕組み(顧客会議やCSからのVOC共有)があると、提案内容やサポート品質が統一され、顧客は一社として一貫した価値提供を感じられるようになります。顧客理解の深さは受注率・継続率・アップセル率に直結するため、The Modelの成否を決める最重要ポイントの一つです。

The Modelの実践:各部門の役割と成功ポイント

The Modelを機能させるためには、各部門が単独で成果を追うのではなく、“全体最適”を前提に役割を果たすことが重要です。マーケティング・インサイドセールス・フィールドセールス・カスタマーサクセスが、共通のステージ定義とKPIを軸に連携することで初めて、効率的で再現性の高い営業プロセスが実現します。

この章では、部門ごとの役割と実践すべき成功ポイントを紹介します。

マーケティング部門が取り組むべきこと

マーケティング部門は、The Modelの最上流として「質と量の両面でリードを創出する役割」を担います。そのためには、SEO、広告、ウェビナー、ホワイトペーパー、SNSなど、多様なチャネルを戦略的に運用し、ターゲットに最適な導線を構築することが重要です。

また、MQL基準、ペルソナ、ターゲット業種をインサイドセールスと共有し、リードの質を継続的に改善する仕組みも欠かせません。さらに、LPOの改善やCVR分析を通じて獲得効率を高めること、MAを活用したスコアリングやナーチャリング設計を行うことで、営業につながる“成果の出るリード供給”が可能になります。

マーケが作るリードの質がThe Model全体のパフォーマンスを左右するため、戦略と運用の両面で高度な取り組みが求められます。

インサイドセールスのKPIと育成方法

インサイドセールスは、マーケティングが獲得したリードに対して、課題ヒアリング・育成・案件化を行い、営業が商談に集中できる環境を整える重要な役割です。

KPIとしては、

  • MQL→SQL転換率
  • アポ獲得率
  • 架電数
  • メール返信率
  • 案件化までのリードタイム等が代表的です。

育成方法としては、

  • トークスクリプトの整備
  • 顧客課題の深掘り質問(SPIN型など)
  • MA・SFAのデータ分析を組み合わせると成果が安定します。

また、質の高いアポイントを作るためには、リードの温度感を正しく見極める“スコアリング思考”が不可欠です。定期的なロールプレイング、成功事例の共有、営業・マーケとの連携強化により、育成と成果の両立が可能になります。

フィールドセールスの商談プロセスの標準化

フィールドセールスは、顧客の課題を把握し、最適な提案を行い、受注まで導く役割を担います。The Modelでは、商談プロセスを標準化することで、個々のスキル差に左右されず、安定して成果を出せるようになります。

例えば、

  • 商談前の準備項目
  • 顧客ヒアリングの型
  • ニーズ深掘りの質問設計
  • 価値訴求ポイント
  • 意思決定プロセスの確認
  • 提案資料のフォーマットなどを統一する

こういったことで提案内容にブレがなくなり受注率が向上します。また、SFAを活用して案件ステータスを可視化することで、停滞案件の早期発見や、マネジメント側の適切なコーチングが可能になります。さらに、CSとの情報連携を強化することで、導入後の満足度向上にもつながり、長期的なLTV最大化に寄与します。

カスタマーサクセスのオンボーディング/継続率向上

カスタマーサクセスは、サービスを導入した顧客が効果を実感し、継続利用・アップセルにつながるよう支援する役割を担います。成功の鍵となるのが“オンボーディングの質”です。

初期設定、活用トレーニング、KPI設定、定例ミーティングの設計など、導入直後の支援がスムーズであれば、定着率は大きく向上します。また、利用状況データをもとに課題の早期発見や予兆管理を行い、解約リスクのある顧客には事前にアプローチする体制が必要です。さらに、顧客の成功体験を蓄積し、マーケや営業へフィードバックすることで、全社的な改善にもつながります。

顧客の成果に寄り添うCSの存在は、LTV最大化というThe Modelのゴールに直結する重要なプロセスです。

The Modelの導入事例

The ModelはSaaS企業を中心に広く採用されていますが、大手メーカーから中小企業まで、業種・規模を問わず幅広い成功事例が生まれています。特に、商談化率の向上、営業の再現性確保、部門連携の強化といった効果が顕著で、営業組織の改革モデルとして注目されています。

ここでは、大手企業・SaaS企業・中小企業それぞれの代表的な成功パターンをわかりやすく紹介します。

大手メーカーのデジタル化による商談化率改善(例:パナソニック)

大手メーカーでは、従来の訪問中心の営業スタイルから、デジタルを活用したThe Model型のプロセスへ切り替えることで、商談化率が大幅に改善した事例があります。

パナソニックの例では、Web行動データやMAツールを活用し、見込み顧客の興味関心を可視化。インサイドセールスが最適なタイミングでアプローチする仕組みを整えたことで、従来の「営業が手あたり次第に訪問するスタイル」から脱却しました。また、営業・マーケティング・技術部門の情報を一元管理することで、引き継ぎの質も改善し、個々の営業の負担軽減と商談精度の向上に成功。結果的に、商談化率の改善だけでなく、受注までのリードタイム短縮にもつながり、大企業におけるデジタル営業モデルの成功例として注目される取り組みとなっています。

SaaS企業のインサイドセールス強化事例

SaaS企業では、The Modelの中核であるインサイドセールスの強化によって、商談数・受注率・LTVが大きく改善した事例が多数あります。

あるSaaS企業では、インサイドセールスを“アポイント係”ではなく“案件創出チーム”として再定義し、スコアリング・ナーチャリング設計・トークスクリプトの最適化を実施。MAとSFAを連携し、リードの温度感に応じたアプローチを自動化することで、MQL→SQLの転換率が向上しました。また、質の高い案件だけをフィールドセールスへ渡せるようになり、営業側の商談効率も大幅に改善しました。

CSとも密に連携し、受注後のオンボーディングを標準化したことで継続率やアップセル率も向上し、The Modelの典型的な成功パターンとして知られています。

中小企業における部分導入の成功例(IS/FSの連携強化など)

中小企業では、The Modelを“全て導入する”のではなく、部分導入することで大きな成果を上げるケースが増えています。

特に成功事例が多いのは、「インサイドセールスとフィールドセールスの連携強化」です。小規模組織では人数や役割が限られているため、専任チームを設けるのが難しい場合があります。そこで、営業の中にIS機能を一部組み込み、リード育成と商談化を明確に分けることで、商談の質が向上。ある企業では、IS担当者がヒアリングと案件の優先度評価を行い、営業は商談に集中する体制に変更した結果、受注率が改善しました。

また、CSについても部分的に導入し、オンボーディングを標準化したことでチャーンが大幅に減少。中小企業でも「必要な部分だけ導入する柔軟運用」が成功のカギとなることを示す好例です。

The ModelとABM(アカウントベースドマーケティング)の違い

The ModelとABMはどちらもBtoB企業で広く採用される営業・マーケティング手法ですが、対象とする市場やアプローチの考え方が大きく異なります。The Modelは「広くリードを獲得し分業体制で営業効率を高めるモデル」であり、一方のABMは「特定の重要アカウントに対して深い関係構築を行う戦略」です。

ここでは、それぞれの違いと、企業のフェーズ別にどちらを採用すべきかを解説します。

広い市場を対象とした分業型モデル(The Model)

The Modelは、リードを大量に創出し、マーケティング・インサイドセールス・営業・カスタマーサクセスで分業しながら効率的に売上を最大化するモデルです。

SaaS企業や、比較的広い市場をターゲットにしたBtoBビジネスでは特に効果を発揮します。多数の見込み顧客をファネルに流し込み、プロセスごとにKPIを設定して管理するため、改善サイクルを高速で回しながら再現性の高い営業組織を構築できます。

また、MA・SFA・CRMなどのテクノロジーとも相性が良く、データドリブンなオペレーション運用がしやすい点も特徴です。市場が広い、リード量が多い、組織として拡大フェーズにある企業に最適なモデルといえます。

特定アカウント深耕型のABM

ABM(アカウントベースドマーケティング)は、特定の重要アカウント(大企業・戦略ターゲット)に絞り込み、営業・マーケティング・CSが一体となって深い関係構築を行う戦略です。

大量のリード獲得ではなく、「狙う企業を決め、その企業に最適化されたコミュニケーションを行う」ことが特徴です。意思決定者が多い大企業向け営業や、高単価商材、長期契約型ビジネスに強いモデルといえます。

また、ABMではカスタマイズされたコンテンツ提供、1to1メール、専任担当による長期的な伴走が重要で、The Modelのような分業よりも“チームとしての統合運用”が重視されます。顧客との関係性を強め、LTVを最大化する戦略として大企業・エンタープライズ向け営業で多く採用されています。

組織のフェーズ別の使い分け方

The ModelとABMは、どちらか一方ではなく、企業フェーズに応じて適切に使い分けることが重要です。

成長初期〜拡大期の企業では、まずThe Modelを導入して「リード創出→案件化→受注→継続」の再現性あるプロセスを構築することで、売上基盤を強化できます。

一方、市場が成熟し、狙うアカウントが明確になってきた段階では、ABMを組み合わせて戦略的に大手企業を深耕する方法が有効です。また、The Modelのプロセスを維持しつつ、ハイタッチが必要な企業だけABM対応する「ハイブリッド型」を採用する組織も増えています。

重要なのは、自社のターゲット層・商材価格・営業リソースに合わせて、両者を柔軟に組み合わせる設計です。

The Modelが合わない企業の特徴と見直しポイント

The Modelは多くの企業で成果を上げる一方、すべての組織や営業スタイルに適しているわけではありません。特に、大手企業向けのアカウント営業や、担当者が一気通貫で関係構築を行う営業モデルでは、分業が逆効果になるケースもあります。

ここでは、The Modelがフィットしにくい組織の特徴と、導入する際に見直すべきポイントを整理し、自社に合った営業体制を判断できるよう解説します。

アカウント型営業(大手企業中心)との相性

アカウント型営業では、大手企業や特定の重要顧客に対して、担当者が長期的な関係構築を行うことが多く、「担当者の一貫性」が重視されます。このような営業では、The Modelのように顧客接点が分業化されると、相手企業が混乱したり、信頼構築がしにくくなるケースがあります。

また、アカウント営業は決裁者が複数存在する複雑な意思決定プロセスが特徴で、深い理解やカスタマイズ提案が求められます。そのため、マーケ→IS→FS→CSと役割が細かく分かれると、情報共有の手間が増え、かえって非効率になることも。

こうした営業では、The Modelをそのまま導入するのではなく、“ハイタッチ対応が必要な顧客のみ専任担当を置く”など、分業と一貫対応を組み合わせたハイブリッド構成が効果的です。

営業一気通貫モデルとの比較

営業一気通貫モデルは、リード獲得以外のプロセスを一人の営業が担当し、課題把握から提案、導入後のフォローまでを一貫して行うスタイルです。このモデルの強みは、顧客との信頼関係が深まりやすく、課題理解や意思決定プロセスを高い精度で把握できる点にあります。

一方The Modelは、分業によって効率性と再現性を高める仕組みですが、顧客にとって担当者が変わることで体験にばらつきが生じる可能性があります。特に高単価商材や複雑なソリューションでは、一気通貫モデルのほうが適しているケースも多いのが実情です。

ただし、案件管理や情報共有ルールを明確にしないと属人化が進むリスクがあるため、一気通貫モデルを採用する場合でも、The Modelの一部要素(KPI管理や共有フォーマットの統一)は取り入れると効果的です。

分業モデルを取り入れる際の注意点

The Modelのような分業モデルを導入する際に最も注意すべきポイントは、“組織規模や商材特性に合った分業レベルに調整すること”です。人数が少ない中小企業で無理に分業すると、役割が細かくなりすぎて、かえって引き継ぎの手間が増えたり、生産性が下がるケースがあります。

また、分業を導入する最大の落とし穴は、「担当領域が増えるのにルールが整備されていない」状態になることです。ステージ定義・共有すべき情報・担当者の責任範囲を決めずにスタートすると、分断・不満・施策の形骸化が発生し、The Modelが本来の力を発揮できません。

導入時は、部分導入から始めて改善しながら成熟させる“スモールスタート+改善サイクル”が最も成功率の高いアプローチです。

まとめ

The Model(ザ・モデル)は、マーケティング・インサイドセールス・営業・カスタマーサクセスを分業し、再現性の高い営業プロセスを構築する強力なフレームワークです。リード創出から受注、継続・アップセルまでを一気通貫で可視化し、改善サイクルを回せる点が最大の強みといえます。

一方で、部門間の分断や引き継ぎ品質の低下、KPI偏重による顧客理解の不足といった課題が発生する可能性もあり、適切な運用設計が不可欠です。また、大手企業向けのアカウント営業や小規模組織では、The Modelをそのまま導入するよりも、部分導入やハイブリッド型が適しているケースもあります。

重要なのは、自社の商材・市場・リソースに合わせて最適な形にカスタマイズし、部門横断の連携と顧客体験の一貫性を維持しながら運用することです。

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